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HACCP認証の種類と特徴・取得にかかる費用とは!?

 

HACCP認証機関には大きく分けて「地方自治体」「業界団体」「民間団体」の3種類があります。
どれもHACCP認証を受けることはできますが、それぞれ特徴が異なるため、適した認証を受けることがポイントとなります。

 

そこで、HACCP認証の種類と特徴、取得にかかる費用などについて解説します。

 

HACCP認証を取得するメリット

HACCP認証は、HACCPの考えに基づいて厳しい審査を受け、優れた能力があると認められた製品やサービスのみに与えられます。

 

HACCP認証を取得するメリットは外部に自社の食品安全に関する取り組みを示すことができる点です。

 

製品説明書にHACCP認証を示すことで食品の安全管理を適切に行っていることを証明し、企業としての信頼を得ることができます。
信頼性の高さが証明されれば、新規の販路開拓や企業の社会的責任への取り組みとして、企業価値を高める効果が期待できます。

 

なぜHACCP認証が複数存在するのか

HACCP認証は地方自治体や業界団体、民間団体などにより多数の認証が存在します。

 

理由としては、食品製造という分野でも、例えば肉と乳製品とでは製造工程も危機管理ポイントも異なるため、複数の認定機関と認証が必要なためです。

 

したがって、製造している食品の業界・業態や企業の規模に合わせてHACCP認証を選ぶことが大切です。

 

次の項からは、HACCP認証の種類と特徴についてご紹介します。

 

地方自治体によるHACCP認証(地域HACCP)

地方自治体が独自で決めた審査基準により審査を行うHACCP認証です。

 

対象製品や適用範囲がその業界・業種に定められてはいますが、各自治体の基準に則って審査をするため、近隣地域からの信頼を得やすいという特徴があります。

 

地方自治体が運営しているため、主に中小企業を対象としたHACCP認証であり、取得も容易な傾向にあります。

 

業界団体によるHACCP認証

日本食肉加工協会や日本乳業技術協会などの業界団体が審査を行うHACCP認証です。
適用範囲はその業界・業種に限られています。

 

各業界に合わせた基準で、企業規模も業界の平均的な規模や業態に合わせてあります。
また、業種に合わせた手引書なども構築されており、業種に合ったHACCPを取り入れる助けにもなります。

 

民間団体によるHACCP認証

民間HACCPは民間企業などが認証するHACCPです。
団体により審査基準には幅があるため、十分吟味して取得する団体を決める必要があります。

 

また、民間HACCPは取得のために外部コンサルタント費用や人材教育費用などの、コストがかかる点や事例や手引き書がない業種も多い為、取り扱う製品にとっては導入が難しくなるというデメリットがあります。

 

HACCP認証にかかる費用

HACCP導入の際に大きな障壁となるのがHACCP認証にかかる費用です。

 

コンサルティング費用や認証手数料など、HACCP導入には大きなコストがかかるというイメージを持っている経営者も少なくありません。

 

認証でかかる費用の目安

認証審査登録費     中間審査
【新規審査】      1年毎
【更新審査】   (サーベランス)
総合衛生管理
HACCP認証             30万円       20万円
(CODEX-HACCP)       (2年毎)
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新調理
HACCP認証             30万円       20万円
(CODEX-HACCP)       (2年毎)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
小規模施設
HACCP認証             15万円         -
(外食・              (1年毎)
レストランHACCP)

 

審査費用は最小規模となっているので、会社規模を基準として見積もりがされます。
工程審査に合格したものは製品に認証マークを付けることができます。

 

2年に1度レベル維持を目的として中間審査を行い、審査をクリアすれば継続となります。

 

総合衛生管理HACCP認証

認証審査登録費:300,000円
中間審査:200,000円

 

総合衛生管理HACCP認証に取り組むことで、製品の品質と安全性の確保、従業員の意識向上やロス、クレームの削減などを期待することができます。

 

衛生管理を徹底している事業者としてのアピールにもなり、消費者はもちろん取引先からの信頼獲得につながります。

 

安心安全な製品をつくるための仕組みを構築することで、従業員の熟練度やスキルに頼らない製造体制を構築することができます。

 

新調理HACCP認証

認証審査登録費:300,000円
中間審査:200,000円

 

「50℃洗い」「70℃蒸し」「真空低温調理法」などの素材を活かす新しい調理法に対し、衛生的な調理が行えるよう、システム管理を行うのが「新調理HACCP認証」です。

 

例えば50℃洗いでは、水洗いでは落ちにくい汚れを落としやすくするだけでなく、酸化防止や細菌の増殖抑制などの効果が期待できるとされています。

 

そのほか、野菜がみずみずしくなったり、肉や魚の臭みや酸化物が取れてより美味しくなるなど、衛生面・調理面においてさまざまなメリットを得ることができます。

 

小規模施設HACCP認証(外食・レストランHACCP)

認証審査登録費:150,000円
中間審査:なし

 

飲食店や食品製造施設を対象としたHACCP認証です。

 

食中毒発生率のうち、およそ6割が飲食店が占めていることを受け、飲食店や食品製造施設における事故の軽減や衛生管理の標準化を目的に設けられた経緯があります。

 

小規模施設HACCP認証を受けることで認証マークを施設や店に掲示することができ、食の安全・安心に取り組んでいる店舗としてのアピールに一役買います。

 

コンサルティング費用は業者によって大きく異なる

HACCPのコンサルティング費用は業者によって大きく異なります。

 

料金体系も製品1つごとに費用がかかる業者や、月額料金で依頼できる業者など、いろいろなところがありますので、事業規模や製品の数に合った業者を選ぶことが大切です。

 

いずれにせよ、総額として数十万円は見込んでおいた方が良いでしょう。

 

HACCP導入は専門家のサポートを受けるとスムーズ

HACCP認証にはさまざまな種類があり、事業所の事業内容や規模に合わせた認証を取得することがポイントとなります。

 

また、HACCP導入には認証まである程度の費用がかかるだけでなく、書類作成やHACCPに基づいた運営管理、従業員の研修など、必要な業務が多数あります。

 

専門家にサポートを依頼すると、コンサルティング費用はかかってしまうものの、専門知識を活かして事業所に合った運営管理方法のアドバイスを受けることができます。

 

また、導入や運営管理だけでなく、HACCP認証取得までしっかりとサポートしてもらえるので、専門家に依頼することで不必要なコストを支払わずに済みます。

 

HACCPは手探りで導入すると経営者、従業員共に負担が大きくなりますので、一度専門家に相談してみると安心です。