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HACCP従来の衛生管理方法・検査方法との違いとは?導入のメリット

 

従来の食品製造工程の安全性は
製造する環境を清潔にすれば安全な食品が製造できるとの考えのもと
環境整備や衛生の確保に重点が置かれてきました。

 

そして製品は最終工程後の出荷前に抜き取り検査が行われてきました。
抜き取り検査のみの場合、危険な食品が市場に出てしまう可能性を排除できません。

 

これに対しHACCPではあらかじめすべての工程についての危害を予測し
危険を防止するためのポイントを継続的に監視します。

 

ここでは、従来の衛生管理の方法とHACCPの衛生管理の方法の違い
HACCP導入のメリットについて解説します。

 

従来の衛生管理方法とHACCPの違い

従来の衛生管理方法は出来上がった最終製品を無作為に抽出して検査するのに対し
HACCPでは食品製造の全工程を管理します。

 

問題があると分かった製品の出荷を効果的に防ぐことが可能になっています。

 

従来の衛生管理方法

従来の衛生管理方法では
・施設の清潔性を重要視
・抜き取り検査を行う
という考え方に基づき検査を行っていました。

 

施設そのものや施設で働く人々が清潔を保って製造環境を整えることで安全な食品が製造できるという考え方で
衛生面を徹底的に管理することで髪の毛の混入や虫などの混入といった事故は防ぐことができます。

 

また、従来の衛生管理方法では抜き取り検査が採用されており
出来上がった製品を一部ランダムに抜き取って品質を確認します。

 

無作為に抜き取って製品の品質を確認するため、全体的に異常がないかを判断することができます。

 

しかし一方で、すべての商品を確認している訳ではない為
抜き取って検査したもの以外に品質が悪いものが混ざっている可能性も否定できません。

 

そのため、商品に問題が起こると正常な商品も全て回収・処分が必要となっていました。

 

HACCPの衛生管理方法

HACCPでは仕入れから出荷まで一連の全ての工程で管理を徹底することで
安心安全な食品を製造できるという考え方に基づいています。

 

食品製造・加工段階の中でどこにどんな危険要因があるのかを分析し発生する恐れのあるリスクについて考えます。
そして、リスクを出来る限り排除する為に食品製造・加工の段階の中でも重要な工程の設定を行います。

 

さらにHACCPの検査方式では継続的な監視と記録を行います。
継続的にもしくは高い頻度でチェックをし、あらかじめ設定した重要工程を逸脱していないかどうかを確認します。

 

センサーなどを活用して基準を満たさない製品は除外します。
システムを導入するなどして常に管理を行うため、品質の悪い製品があればすぐに取り除くことが出来る点がメリットです。

 

あなたの事業所は基準A?基準B?

HACCPの制度化に伴ってすべての食品等事業者はHACCPの導入が義務付けられています。

 

HACCPの導入にあたっては基準A、基準Bのいずれかを導入することになるのですが
ご自身の事業所がどちらに該当するのか疑問に思われる方もいらっしゃるでしょう。

 

ここでは基準Aに該当する事業所、基準Bに該当する事業所についてご紹介します。

 

「基準A」の事業所

・屠畜場、食鳥処理場
・食品の製造または加工を行う者のうち、1つの事業所において食品の製造及び加工に従事する者の総数が50人以上
・HACCPの為の専門部署(品質管理部門)持つ等の一定の規模の条件を有する事業者

 

「基準B」の事業所

・小規模事業者(食品の製造または加工を行う者のうち
1つの事業所において食品の製造及び加工に従事する者の総数が50人未満)

 

基準A基準Bの適用対象は、今後変更される可能性もありますので
最新の情報は厚生労働省のホームページを確認するようにしてください。

 

HACCP導入のメリット

 

衛生管理の意識向上

HACCP導入のためには事業所内でHACCPの専門チームを編成する必要があり
衛生管理の知識を持つ人材を育成していかなければなりません。

 

また、各工程で衛生管理が行われ、チェックや記録、問題があった場合は
都度改善を行わなければなりませんので多くのスタッフが衛生管理に携わることになります。

 

これにより、社内の人員が衛生管理の知識を得る機会が増え、衛生管理への意識向上が期待できます。

 

生産性の向上

HACCPでは食品製造の中の各工程の衛生管理を計画・運用します。

 

HACCP導入当初は各工程で起こる可能性のある危険因子の管理方法の検討や分析など、多くの項目を設定する必要があり
煩雑に感じるかもしれません。

 

しかし、一度ルール化し見える化した衛生管理方法は、管理者のみでなく現場のスタッフの多くが行うことが可能となり
将来的には衛生管理を簡潔に行うことができます。

 

その結果、製造工程のムダが取り除かれ、生産性の向上と利益拡大が期待できます。

 

不具合発生時に迅速な対応が可能

HACCPでは食品製造において仕入れから出荷までの各工程で発生する恐れのある危険因子をあらかじめ分析し、対策を決めます。
製品に不具合が発生した場合、その不具合についての予測ができ、その対策を迅速に行うことが可能です。

 

また、原因を究明し、ルールを変更することで衛生管理の方法もレベルアップしていくことができます。

 

事故・クレームの減少

食品事業者にとって食品衛生の事故はお客様の健康被害のおそれがあり
社会からの信頼性を大きく損なう可能性があるため、最も避けなければならないトラブルです。

 

HACCPでは各工程で危険因子と管理方法を設定し、管理方法が正確に行われているか記録を残します。
各工程で危険因子の混入・汚染を防ぐ対策をすることができるため、結果的に事故・クレームの減少につながります。

 

衛生管理のイメージ力アップ

国際基準のHACCPを導入することは大きな宣伝材料となります。

 

衛生管理の説明を求められた際にスムーズに説明できるだけでなく、取引先の信頼や評価に繋がったり
人材確保としても有利に働き、企業価値を高め広く信頼と評価を得られる可能性が高まります。

 

販路・取引先の拡大

HACCPの認証を受けた業者はそれをアピールポイントとして活動できることも可能であり
衛生管理に力を入れている企業として信頼を獲得することができます。

 

HACCP導入により海外市場への進出もスムーズに行える可能性があり、新たなビジネスチャンスの武器となり得ます。

 

HACCPによる衛生管理は多くのメリットがある

HACCPによる衛生管理は最初は大幅な意識改革を求められ、現場に戸惑いが起こる可能性もありますが
導入することで様々なメリットを享受することができます。

 

管理者だけでなくスタッフ全員で知識や情報共有をし、一丸となって取り組むことが大切です。