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HACCP導入のメリットとデメリット デメリットを減らすには?

 

2020年6月から制度化されたHACCPですが、導入することでどんなメリットがあるのか分からない、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

制度化されているので導入はしていても、そのメリットを理解していないとせっかくのHACCPの取り組みも十分に活用することができません。

 

そこで、HACCP導入のメリットとデメリットをご紹介します。

 

HACCP導入のメリット

HACCP導入には

 

・従業員教育の平準化を図ることができる
・事業所全体で衛生管理の意識が向上する
・生産性アップを見込める
・不具合発生時に迅速な対応が可能になる
・事故・クレームの削減につながる
・企業イメージアップを図ることができる
・食品事故が起きてしまった場合の自己防衛ができる

というメリットがあります。

 

従業員教育の平準化を図ることができる

HACCPでは衛生管理のルールを明確にし、工程ごとのルールに基づいて製造を行います。
そのため、従業員にとってはルールが理解しやすく、トラブルの際の対応方法も均一化します。

 

ルールが明確なため、従業員教育がしやすくなり、「人によって違う」ということを避けたり、仕事の質を平均的に向上させることが可能です。

 

事業所全体で衛生管理の意識が向上する

HACCPを導入する際には事業所内でHACCP専門チームをつくり、衛生管理の知識を持つ人の育成を行う必要があります。

 

導入された後も各工程で衛生管理、チェック、記録を日々行い、問題が起こったら都度改善を行わなければならないため、多くの従業員がHACCPの衛生管理に携わることになります。

 

これにより、社内の従業員が衛生管理の知識に触れる機会が増え、衛生管理の意識向上へと繋がります。

 

生産性アップを見込める

HACCPでは食品製造の各工程で衛生管理を計画し、運用します。

 

導入当初は各工程で発生する可能性のある危険因子の管理方法の検討や分析など数多くの項目を設定しなければならず、煩雑に感じることもあるかもしれません。

 

しかし、一度ルール化し、工程を見える化した衛生管理方法は、管理者だけでなく現場のスタッフにも実行可能となり、将来的には衛生管理をシンプルに行う事が可能です。

 

その結果、製造工程のムリ・ムダが省かれ、生産性向上と利益拡大を期待することが可能です。

 

不具合発生時に迅速な対応が可能になる

HACCPでは、製造工程における一連の各工程の中で発生する可能性のある危険因子を事前にピックアップし、対策を決めておきます。

 

事前に対策を決めておくことで、万が一製造に不具合が発生した場合でも迅速に対応することが可能です。

起こった不具合に関しては原因を究明し、ルールを更新していくことで衛生管理の方法も随時刷新していきます。

 

事故・クレームの削減につながる

食品衛生の事故は消費者へ健康被害を及ぼす恐れがあり、社会からの信頼を大きく損なう可能性もあり、最も避けなければならないトラブルです。

 

HACCPでは材料仕入れから出荷までの各工程で危険因子と食品の管理方法を設定し、設定した方法が正しく行われているか日々チェックし、記録します。

 

工程の中で危険因子の混入、汚染を防ぐ対策を取っておくことが出来る為、結果的に事故やクレーム削減につながります。

 

企業イメージアップを図ることができる

HACCPは国際基準ですので導入していることは自社の大きな宣伝材料の1つとなります。

 

衛生管理の説明を求められた際に具体的にどのような対策を行っているか説明できるだけでなく、取引先の信頼、評価につながるなど、人材確保にも有利に働き、総合的な企業価値を高めていく事ができます。

 

食品事故が起きてしまった場合の自己防衛ができる

もし食品事故が起こってしまった場合、保健所は原因究明の調査を実施します。
その際、HACCPで適切な衛生管理がされている場合、業務・営業停止処分の日数など、処分が軽減できる可能性があります。

 

HACCP導入は万が一のことが起こった場合に自己防衛として機能すると言えるでしょう。

 

HACCP導入のデメリット

HACCP導入のデメリットには

 

・手間がかかる
・コストがかかる場合がある
・食品事故の全てを防げるわけではない

といった点があります。

 

手間がかかる

HACCP導入最大のデメリットは、導入時にさまざまな手間がかかることです。

 

HACCP導入には作業フローの作成や衛生計画書の作成、日々の衛生管理と記録など、これまでの業務に加えてやらなければならないことがたくさん発生します。

 

HACCPは従業員がチームとなって行わなければなりませんので、従業員にHACCPに必要性を伝えるほかHACCPの考えややるべきことを研修や勉強会などを開催して周知しなければなりません。

 

衛生計画の中で事故発生につながる恐れのある工程を変更する必要があるため、従業員に協力を仰ぎながら変更を依頼する必要があります。

 

HACCP導入の際は事業主側も従業員側も大きな手間が発生することは避けられないと言えるでしょう。

 

コストがかかる場合がある

HACCP導入のために、場合によっては新たに設備投資が必要になる場合があります。

ほとんどの場合は費用をかけずにHACCPを導入することができますが、事業所の状態などにより新たな設備が必要になる場合もあります。

 

HACCPが義務化する前、特に中小企業のHACCP導入が遅れたのも設備投資用の資金が不足していることが大きな要因であったとされています。

 

現在ではHACCP支援法が改正されたため、日本政策金融公庫から低金利融資を受けられるようになっており、HACCPを導入しやすくなっています。

 

食品事故の全てを防げるわけではない

HACCP導入をしたからといって食品事故の全てを防げるわけではありません。

HACCPは危険要因を避け、食品事故を起こりにくくし、食品をより安全に製造するための管理方法です。

 

HACCPを導入したからといって安心せず、常に危険因子を取り除けるよう、状況や環境に合わせて衛生管理のルールを改定していく必要があります。

 

デメリットを減らすには専門家に依頼するのが有効

HACCP導入のメリットとデメリットをご紹介しました。

 

デメリットを減らすにはHACCP導入を専門家に依頼するのがスムーズです。
HACCP導入の際には資料作成や各工程のルール作り、チェック、記録を日々行うといった体勢の構築などさまざまな業務が発生します。

 

日常業務をこなしながらHACCPの準備を進めるのは従業員にとっても負担がかかりますので、ある程度は専門家に任せてしまった方が負担を減少させることができますし、書類に不備が出る心配もありません。

 

HACCP導入の際や今のHACCPに不安がある場合は一度専門家に相談するのがおすすめです。