食品工場の品質管理の目的とHACCPの導入方法・ポイント
2021年から各食品工場ではHACCPに定められた手順に従って食品を製造することになっています。
製品の品質管理と衛生管理を向上させるためにはHACCPを適切に導入することが重要なポイントとなり、まだ導入していない事業者は早急に対応する必要があります。
ここでは、食品工場の品質管理の目的やHACCPの導入方法、衛生管理のポイントについて解説します。
食品工場の品質管理の目的
安全な食品を製造するため
安全で安心な食品を製造することは、消費者だけでなく、会社にとっても重要です。
食品に異物が混入していたり、食中毒が起こってしまったりした場合には、会社の信用は一気に崩れてしまいます。
一度失った信用を回復するには大変な努力と時間を要します。
食品を製造する事業者は、従業員が一丸となって安全な品質を確保する必要があります。
品質を維持するため
消費者にとって安全で安心な製品が提供されるのは当然のことです。
そのうえで品質の良さが求められます。
消費者は品質を評価して製品を購入するため、クオリティが落ちていると感じれば再び購入してもらえない可能性があります。
安全性に関しては苦情という形で品質の問題が表面化することが多いですが、品質に関する不満はなかなかメーカーには伝えられません。
品質を維持するためにはマニュアルを従業員全員が理解し、決められた基準や手順に沿って作業する、業務に関わるスタッフ全員が品質に関して高い意識を持つことが大切です。
衛生管理を徹底するため
食品の安全性を確保するためには十分な衛生管理が欠かせません。
食材や機器などの設備、施設の衛生状態をしっかりと管理します。
HACCPに基づいて衛生管理を徹底し、従業員全員が衛生に関する高い意識を持つことが大切です。
HACCPと従来の品質管理の違い
従来の品質管理は完成したものに対してサンプル検査を行う方法です。
一方、HACCPでは事前に危害要因を明確にしておき、それを重点的に管理して製造工程内の安全性を担保する方法となります。
従来の品質管理では、完成品から一定のサンプルを抜き取って検査する抜き取り検査が主流でした。
抜き取り検査では抜き取られたサンプルがたまたま正常なものばかりのケースもあり、衛生管理上の問題が見過ごされるリスクがあります。
一方、HACCPに基づく衛生管理では、食品の仕入れから出荷までの全工程の危害要因をあらかじめ分析し、品質管理を行います。
各工程で特に安全対策が必要な部分を「重要管理点」として定め、重要管理点を対象に重点的に衛生管理に取り組みます。
HACCP導入で実際に行うこと
HACCPの導入では、「7原則12手順」に沿って進めていきます。
手間はかかりますが、1つひとつ進めていけば品質管理の向上にも大きく影響します。
手順1 HACCPチームの編成
製品を作るためのすべての情報が集まるように、各部門から担当者を出してチームを編成します。
手順2 製品説明書の作成
製品の安全管理上の特徴を示すため、原材料、保存方法、アレルギー物質などを書き出します。
手順3 意図する用途の特定
消費者がどのように食べるのかを確認します。
加熱して食べるのか、長期保存するのかなど、考えられる食べ方について具体的に列挙します。
手順4 製造工程一覧図の作成
すべての製造工程の作業内容が一覧で分かるように業務フロー図を作成します。
手順5 製造工程一覧図の現場確認
製造工程一覧図と実際の作業を比較し、製造工程に変更や間違いないかを確認します。
手順6(原則1) 危害要因の分析
原材料や製造工程における危害要因を挙げます。
手順7(原則2) 重要管理点(CCP)の決定
危害要因を列挙するための、重要管理点(CCP)を決定します。
手順8(原則3) 管理基準の設定
重要管理点で管理する項目と許容限界値を設定します。
手順9(原則4) モニタリング方法の設定
管理基準が守られているかをチェックするための、測定方法、測定頻度などを設定します。
手順10(原則5) 改善措置の設定
管理基準どおりに製造できなかった場合に製品をどのように取り扱うか、トラブルなどの解決方法を決定します。
手順11(原則6) 検証方法の設定
各手順において設定したルールが有効に機能しているかをチェックします。
手順12(原則7) 記録と保存方法の設定
モニタリング結果の記録方法や保存期間を設定します。
食品工場がHACCPを導入する際に注意したいポイント
食品工場がHACCPの品質管理を導入する際は次の4つの点に注意が必要です。
立地・周辺環境に注意する
まず注意しておきたいのが、工場設備の周辺環境や立地です。
これから工場を建設する場合は敷地面積のほかに周辺にどのような設備が存在するのかを確認しておく必要があります。
例えば周辺に飲食店が多く存在する場合、ネズミや害虫が多く生息していると予想できます。
したがって、このような条件の場所に工場を設置する場合、ネズミや害虫が施設内に入り込まないような対策が必要です。
ゾーニングと動線に注意する
HACCPに対応した食品工場を建設する場合、ゾーニングや動線計画が重要になってきます。
食品工場ではさまざまな設備が導入されますが、「何を導入するか」と同様に「どこに配置するか」も重要なポイントです。
工場を設置する際には業務フローをイメージして設備の配置を決めることが重要で、業務フローに応じて設備の配置をすれば業務がスムーズになるだけでなく不要な設備の導入コストを抑えられます。
空調・換気設備に注意する
設備内の清潔を保つには、空調や換気設備を配置して周辺から飛来する埃や粉塵が混入するリスクを防ぐ必要があります。
空調・換気設備にはフィルターを装着し、外気から取り込む空気に異物が混じらないようにします。
また、空調・換気設備はフィルターをはじめとした部品の洗浄など、定期的なメンテナンスを行い、工場内が汚染されないようにすることも大切です。
従業員の身だしなみに注意する
設備内の衛生管理はもちろん、従業員の身だしなみにも注意が必要です。
設備で注意が必要なのは、トイレ、手洗い場、蛇口、ドアノブなど、手が直接触れる場所です。
特にトイレや手洗い場は、病原微生物の汚染・繁殖の原因になりやすいため、こまめな清掃や作業場へ直接出入りできないようにする、などの対策が必要です。
常に清潔な作業服を着用し、作業服と衛生帽子は正しく着用することも品質管理では重要です。
品質管理の目的を明確にし、HACCPを導入する
HACCPは食品の安全を確保するための管理手法です。
食品製造をする場合は品質管理の目的を明確にし、HACCP導入を行うとよりスムーズな衛生管理が可能となります。
滋賀県守山市のHACCP導入は昌直行政書士事務所にご相談ください。
会社名:昌直行政書士事務所
住所:滋賀県守山市水保町1404-10
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