-お菓子屋さん・ケーキ屋さんのHACCP導入方法・手順-
食品衛生法改正によるHACCPの導入は、小さな菓子店も例外ではありません。
しかし、HACCPの具体的な導入方法が分からなという事業者さんも少なくないのではないでしょうか。
菓子製造業は取り扱う商品の種類が多く、それぞれの製造工程に合わせた衛生管理が必要です。
今回は、お菓子屋さん、ケーキ屋さんなど菓子製造業のHACCP導入方法をご紹介します。
小さな菓子店ではHACCPの考えを取り入れた衛生管理を実施する
HACCPは、従業員50人以上の大規模事業者は「HACCPに基づく衛生管理」、従業員50人未満の小規模事業者は「HACCPの考え方取り入れた衛生管理」を導入します。
つまり、小さな菓子店では、「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」の導入方法を実施していきます。
ステップ1 菓子製造業の手引書を読む
厚生労働省のホームページから手引書をダウンロードする
小規模事業者は厚生労働省が内容を確認した各業界に沿った手引書を参考に、手引書に記載されている導入方法でHACCPを実施していきます。
手引書は厚生労働省のホームページ「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理の手引書の一覧」からダウンロードできます。
菓子製造業の場合、「HACCPの考え方を取り入れた菓子製造業における衛生管理計画作成の手引書」を選ぶことになります。
菓子製造業のジャンルに該当しない場合は、厚生労働省のホームページから最も近い業界の手引書の導入方法を参考に、HACCPに取り組むと良いでしょう。
菓子製造業の手引書を使うお店の対象
菓子製造業の手引書を参考にHACCPを導入するお店は
ケーキ店
和菓子店
焼き菓子を販売する店
です。
これらに該当するお店は菓子製造の手引書に記載された導入方法をもとにHACCPに取り組みます。
ステップ2 製造する製品の分類を確認する
菓子類は種類は非常に多いことから、製造工程の共通性に着目して大きく5種類に分類し、製造工程で特に留意すべき工程を整理します。
まずは、提供している商品を5つの種類に分類してみましょう。
第1分類 生地調整で加熱する菓子
流し菓子、あめ類(キャラメル、ドロップ)、ゼリー類、チューインガム
第2分類 生地調整後加熱する菓子
蒸し菓子、オーブン焼き菓子、油菓類、砂糖漬け菓子、バターケーキ、自家製あん等
第3分類 加熱後手細工加工などが入る菓子
もち菓子、スポンジケーキ類、パイ菓子、シュー菓子、米菓等
第4分類 仕上げ工程後加熱する菓子
缶入り羊羹等
第5分類 加熱しないあるいは低加熱加工の菓子
おかもの、打ち菓子、押し菓子、平鍋焼き菓子、チョコレート等
菓子製造では特に第3分類に注意
菓子製造業での食中毒は、「第3分類 加熱後手細工加工などが入る菓子」で発生する可能性が最も高くなります。
手指に接触することでブドウ球菌が付着したり、ほかの食材から菌やウィルスの2次汚染が発生したりするなどの事例が多く報告されています。
加熱や温度管理はもちろんのこと、作業場の衛生管理と従業員の健康管理、清潔維持が重要です。
ステップ3 衛生管理手順を定め衛生管理計画書を作成する
小規模な菓子製造業では、手引書に記載された項目に関して衛生管理計画を作成します。
基本の工程は手引書に記載されていますが、お店ごとに設備や管理方法が異なるため、自社の方法に修正しながら計画していきます。
製造現場と販売現場の衛生管理項目
菓子店で押さえておくべき衛生管理項目は以下となります。
・製造現場での衛生管理項目
①施設、設備、機械、器具の衛生管理
②従業者の衛生管理
③原材料、商品等の受け入れ時の衛生管理
④製造時の衛生管理
・販売での衛生管理項目
①店舗、設備、器具の衛生管理
②従事者の衛生管理
③商品、資材の受入れ時の衛生管理
④販売時の衛生管理
菓子製造業の重要管理点のポイント
HACCPでは、危害の発生を防止するため、特に重点的に管理すべき点を「重要管理点(CCP)として定めています。
全国菓子工業組合連合会の「菓子製品の高度化基準」では、菓子製造の重要管理点を次のように示しています。
①生地調整で加熱する菓子については、生地調整・加工工程を含めることにする
②生地調整後加熱する菓子については、加熱工程を含めることとする
③加熱後手細工等が入る菓子については、加熱工程を含めるとともに、非加熱材料を用いる場合には、非加熱材料の受入れ・保管・洗浄・選別の工程を実情に応じて含めることにする
④仕上げ(充填・巻き締め)工程後加熱する菓子は、実情に応じて生地調整・加熱工程を含めることとする
⑤加熱加工しないあるいは低加熱加工の菓子については、原材料の受入れ・保管を含めることとする
手順書を作成する
製造する菓子別に食材の搬入から提供までの、清掃、洗浄、消毒、食品の取り扱い、製造方法などについて具外的な方法を記載した手順書を作成します。
手順のなかで特に厳重管理が必要な「重要管理点」に関してはそのリスクなどについても記載します。
衛生管理計画書の作成
衛生管理手順を定めたら衛生管理計画書を作成します。
衛生管理計画書の導入方法は地方自治体のホームページに業種別の衛生管理計画が掲載され、ダウンロードして使えるようになっている場合がありますので、まずは自治体のホームページをチェックしてみてください。
ステップ4 記録する
一般衛生管理記録
一般衛生管理に関する実施結果の記録を毎日、業務終了時に記録します。
具体的な記録内容は以下の項目となります。
①原材料の受け入れの確認
②冷蔵・冷凍庫の温度の確認
③交差汚染・二次汚染の防止
④器具等の洗浄・消毒・殺菌
⑤トイレの洗浄・消毒
⑥従業員の健康管理・衛生的作業着の着用など
⑦衛生的な手洗いの実施
店内で記録の導入方法を定め、スタッフ全員で取り組みます。
重要管理記録
重要管理項目に関する実施結果を毎日業務終了時に記録します。
HACCPでは、
グループ1:加熱しない食品
グループ2:加熱してすぐ提供する食品
グループ3:加熱と冷却を繰り返す食品
に分けますが、菓子製造業の場合は上でご紹介した5つの分類を使用して、グループ単位で重要管理計画に基づく実施ができたかどうか、衛生管理の実施結果を記録します。
実施結果で「否」となった場合には、問題の内容や対処方法を記録し、重要管理計画を見直します。
HACCP導入は専門家にアドバイスをもらうとスムーズ
菓子店のHACCPの導入方法をご紹介しました。
手引書に詳しく導入方法が記載されていますが、理解しにくい点や自分のお店に当てはまるか不安な部分もあるかと思います。
その場合はHACCPの専門家にアドバイスをもらうと日々の営業を続けながらスムーズにHACCPの導入が可能となります。
不明な点はまず、専門家に問い合わせてみてはいかがでしょうか。
滋賀県守山市のHACCP導入は昌直行政書士事務所にご相談ください。
会社名:昌直行政書士事務所
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