飲食店のHACCP導入でやるべきこと 何をするのか具体的に解説
2020年6月の食品衛生法の改正により、HACCPの導入が義務付けられました。
HACCPは小規模な飲食店も対象となります。
しかし、実際にどのように取り組めば良いのか分からないというオーナー様もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では飲食店がHACCPを導入する際にするべきことをご紹介します。
HACCPに沿った衛生管理では
①一般衛生管理
②重要管理ポイントの管理
の2つを行い、記録・振り返りを行って衛生管理を目に見える形にします。
では、具体的に見ていきましょう。
一般衛生管理計画の策定
HACCPでは衛生管理計画書を作成し、日々の業務を見える化します。
そのため、「一般衛生管理」と「重要管理」の2点で衛生管理計画書を作成します。
一般衛生管理とはHACCPの土台となる基本的な衛生管理のことです。
食品の取り扱いや調理器具の衛生管理、従業員の健康管理なども一般衛生管理の範囲となります。
原材料の受け入れ
原材料を納入した際に外観、におい、包装、期限などを確認します。
冷蔵庫・冷凍庫の温度管理
冷蔵庫は10℃以下、冷凍庫はマイナス15℃以下になるように設定します。
始業前に温度計で確認し、問題があった場合は原因を確認して温度調整を行います。
交差汚染・二次汚染の防止
調理中の道具や調理器具の取り扱いも大切です。
まな板や包丁の色を用途別に分ける、冷蔵庫に入れる際は食材ごとにバットなどで区分けするなどで対策します。
また、厨房の外ではトイレの洗浄や消毒が必須となります。
トイレの点検、清掃の時間を決めるなどの工夫が必要です。
従業員の健康・衛生管理
衛生管理は従業員全員で意識することが必要です。
服装規定を作る、体調管理、健康確認など、厨房に入る前に徹底します。
一般衛生管理のチェック方法の決め方
一般衛生管理のチェック方法は「いつ」「どのように」衛生管理を行い、「問題があったとき」はどうするのか、これらの3つに沿って行います。
チェック方法はマニュアルを作っておくと効果的です。
「いつ」とは?
衛生管理をいつ実施するかをあらかじめ決めておきます。
後で振り返った時に問題がなかったことが分かるよう記録しておきます。
「どのように」とは?
どのような方法で実施するかを決めておきます。
誰が実施しても同じようにできるようにしておきます。
必要に応じてマニュアルを作成します。
「問題があったとき」とは?
普段と異なることが発生したときの対処方法を決めておきます。
また、「普段と違うことがあったら必ず報告する」など、異常を見逃さないルール作りも大切です。
重要管理ポイントの管理
重要管理ポイントは、調理工程など一般管理以外でさらに徹底した管理をすべき重要なポイントを指します。
重要管理ポイントは飲食店の業態やメニューによって変わりますが、主に加熱工程が重要管理ポイントとなる飲食店が多くあります。
加熱工程の重要管理ポイントは、メニューを
①非加熱のもの(冷蔵品を冷たいまま提供)
②加熱するもの
③加熱後と冷却を繰り返すもの(加熱後冷却、再加熱)
の3つのグループに分けます。
第1グループ 非加熱のもの(冷蔵品を冷たいまま提供)
サラダ、冷奴、刺身、薬味ネギなど
第2グループ 加熱するもの
ハンバーグ、焼き鳥、焼き魚、天ぷらなど
第3グループ 加熱後と冷却を繰り返すもの(加熱後冷却、再加熱)
カレー、シチュー、スープ、ソース・たれ、ポテトサラダなど
グループごとに確認の方法を決める
メニューを3つのグループに分けたら、調理の流れを振り返り、特に注意が必要な工程のチェック方法を決めます。
第1グループ
①汚染されていない食品を使用する
生食用であるか確認する
②適切な下処理を行う
生食用に調理する魚介類の場合は、真水で十分な洗浄を行う、寄生虫対策のために冷凍処理をするなど。
必要に応じて野菜の塩素消毒などを行う。
第1グループの食品は加熱工程がないため、食材に付着している有害な微生物を殺菌することができません。
したがって、汚染されていない食材を使用する事、有害な微生物が増殖しないよう低温での保管が大切です。
第2グループ
①十分な加熱
②高温保管など
加熱工程では食品の中心部が75℃で1分間加熱することが大切です。
第3グループ
①十分な加熱・再加熱
②速やかな冷却など
冷却工程では10℃~60℃の危険温度帯をいかに早く抜けるかがポイントとなります。
小さな容器に小分けして冷蔵庫で冷やすなど、効率的に温度を下げるようにします。
計画に基づく実施
上記で決めたルールに従って営業をしていきますが、最初は全員がルールに従って行動するのは難しいと感じるかもしれません。
従業員全員でルールや手順を守って取り組むことが大切です。
さらに衛生管理の項目はリスト化し、都度チェックを行います。
通常業務が忙しくチェックを忘れることのないように管理者がこまめな声掛けを行うようにしましょう。
確認・記録
衛生チェックを行ったら内容を記録しておきます。
飲食店では、食中毒が発生してしまった際などに、保健所の立ち入り検査があります。
その際、記録がなければ衛生チェックが行われていたことの証明にはなりません。
抜き打ちで検査が入ることもありますので、いつでも記録を見せることができるように、毎日きちんと記録を付けるようにしましょう。
定期的に振り返る
定期的にこれまでの記録や日々の作業、お客さまからのクレームや日常で気が付いたことなどを振り返り、計画で決めたルール通りの作業ができているか、ルール修正の必要はないかなどを確認します。
振り返りの方法としては以下を参考にしてみてください。
記録の確認
衛生管理日誌を確認し、決めたルールが日常的に行われているかチェックする
作業の確認
メニューや原材料、調理作業、中心温度のルールを確認し、チェック方法が妥当かどうかを確認する
計器類の点検
中心温度計が正しく動作するか確認します。
氷水や電気ケトルの沸騰蒸気などで正しく温度を表示するか確認します。
クレーム・気が付いたこと
お客様からのクレームや日常で気が付いたこと、業界の食中毒情報を衛生管理日誌や行政機関などのホームページで確認します。
同じような問題が発生しないようルール改善の必要がないか検討します。
飲食店のHACCP導入は専門家の力を借りるのも1つの手
飲食店のHACCPの導入方法についてご紹介しました。
HACCPに取り組むことで、より安全安心な料理をお客様に提供することができます。
とはいえ、通常業務を行いながらHACCPに取り組むことは従業員にとっても大きな負担であり、難しいと感じることもあるでしょう。
そのような場合は行政書士などHACCPの専門家のサポートを借りて取り組むと正しい知識でスムーズにHACCPを取り入れることができます。
忙しい飲食店は専門家のサポートも1つの方法として考えておくと良いでしょう。
滋賀県守山市のHACCP導入は昌直行政書士事務所にご相談ください。
会社名:昌直行政書士事務所
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