HACCP7原則12手順の準備段階の5手順でするべきこと
HACCPの導入を進めていくうえで基準となるのが「7原則12手順」です。
これは、Codex(国際食品規格)委員会が示したものですが、7原則を実施するためには準備として手順1~5までの5つの手順を踏む必要があります。
この記事ではHACCPの5手順についてどのようなことをすればよいのか解説します。
HACCP7原則12手順とは
HACCPの「7原則12手順」はHACCPの仕組みづくりのガイドラインのようなものです。
12の手順に沿って取り組み、HACCPを導入していきます。
手順1:HACCPチームの編成
手順2:製品説明書の作成
手順3:意図する用途及び対象となる消費者の確認
手順4:製造工程一覧図の作成
手順5:製造工程一覧図の現場確認
手順6【原則1】:危害要因分析の実施
手順7【原則2】:重要管理点の決定
手順8【原則3】:管理基準の設定
手順9【原則4】:モニタリング方法の設定
手順10【原則5】:改善措置の設定
手順11【原則6】:検証方法の設定
手順12【原則7】:記録と保存方法の設定
手順1:HACCPチームの編成
HACCP導入の第一歩としてまず、HACCPチームを編成します。
HACCPに関する専門知識を持った人が社内にいない場合は、外部の専門家に依頼するとスムーズです。
HACCPチームの編成
実際の業務に精通している従業員でHACCPチームを編成します。
このとき、関連する部署すべてから集めることが大切です。
さらに、食品衛生に関する知識を持っている人をチームに入れる必要があります。
HACCPチームの役割
HACCPチームの役割は主に
・HACCPプランの作成と検証
・従業員への教育
・外部監査・内部監査への対応
・管理方法の見直し・修正
・重要管理点(CCP)の管理・妥当性の確認
の5つです。
HACCPでは衛生レベルの向上と維持が求められるため、HACCPチームは決められた基準やルールを遵守することはもちろん、従業員の模範となるように行動します。
HACCPチームリーダーの役割
HACCPチームリーダーの役割は主に以下の3つです。
・HACCPプランの設計と実施
・HACCPシステムの妥当性の確認・検証
・チーム会議の議長
リーダーはチームの中心となって効果的なHACCPプランを構築する責任があります。
チームの意見をまとめるため、コミュニケーション能力や情報処理能力が求められます。
手順2:製品説明書の作成
衛生管理を行うにあたり、製品に関する情報をまとめた製品説明書を作成します。
製品の安全管理上の特徴をまとめることが目的ですので、製品の仕様や特徴について明確にし、それぞれの項目に分けて作成します。
製品情報の整理
製品説明書の作成の前に製品情報を整理します。
製品の安全上の特徴、どのようなハザードが潜んでいるのか、どのような健康被害を引き起こす可能性があるのか、を把握し整理します。
製品説明書の作成方法
製品説明書ではおおまかに以下の内容を記載します。
1.製品の名称
2.使用する原材料と添加物
3.製品の特性
4.消費期限(賞味期限)
5.保管条件・配送条件・包装形態
手順3:意図する用途及び対象となる消費者の確認
実際に製品がどのような意図で、どのような消費者の口に入るのかをチェックします。
喫食または使用方法
手順2の製品説明書に加えて、さらに先の製品が使用される段階の情報を整理します。
製品の使用とは、消費者であれば喫食時、業務用であれば調理工程等を指します。
消費者がそのまま喫食する製品は特に十分な安全性を担保する必要があります。
また、消費者が自宅で調理してから食べる製品は容器が高温で溶けない等、調理に対応した包装形態が必要です。
使用上の注意
これは製品のラベル表示に記載するべき使用上の注意喚起のことです。
例えば冷蔵商品では「開封後は冷蔵庫(10℃以下)で保存し、賞味期限に関わらず、2~3日を目安に召し上がりください」というような記載がありますが、このような使用上の注意を製品説明書に記載します。
対象者
対象者とは消費者のことです。
消費者にはさまざまな属性があり、子どもや高齢者などを対象とした製品の場合はより高い安全性が担保できる衛生管理が求められます。
また、アレルギーを持っている消費者に対しての注意喚起項目としてアレルゲン表示が必要です。
手順4:製造工程一覧図の作成
原材料の受け入れから製品製造、顧客の手に渡るまでのすべての作業を製造工程一覧図(フローダイアグラム)にまとめます。
製造工程図を作成するうえでの注意点
製造工程一覧図の作成時は直接その作業に関わっていない人にも理解できるように作成することが大切です。
まずは工程をリストアップし、これを上から下に向かって書いていきます。
図を作成する際には工程に通し番号を振っておくと分かりやすくなります。
施設図面も作成する
効果的な衛生管理のために、人の流れが把握できるように施設図面や動線図などがあると分かりやすくなります。
施設図面では「清潔区域」「準清潔区域」「汚染区域」の3つのエリアを色分けします。
手順5:製造工程一覧図の現場確認
作成した製造工程一覧図の通りになっているかを現場を実際に見て確認します。
現場確認が必要な理由
実際の現場では製造の工程を作業者に任せており、本来するべき工程を省略してしまっていたり、マニュアルとは違う方法で行っていることもあります。
しかし、これが原因で食品事故が起こることも少なくありません。
HACCPチームで製造工程図と現場の実際の工程が合っているかどうかを確認し、工程の流れがその通りになっているのか確認します。
工程の確認内容
・工程順序に間違いはないか
・工程の抜けはないか
・イレギュラーな工程は製造工程図に記載されているか
・最新の作業の状態を反映しているか
HACCPの知識がない場合は専門家に相談すると安心
HACCPの手順1~5までで取り組むべき内容についてご紹介しました。
HACCPは従業員全員で取り組みますが、まずはHACCPチームを編成し、勉強会や講習会を開いてHACCPに関する正しい知識を持つことが大切です。
そのためにはHACCPの正しい知識を持っている人が必要となりますが、もし社内に知識を持った人がいない場合は、HACCPに詳しい専門家に依頼すると安心です。
専門家に依頼することでHACCP導入の準備をサポートしてくれたり、勉強会の開催や、書類作成などを行ってもらえます。
HACCP導入に関して不安な点がある場合は、専門家に相談だけでもしておくと安心です。
滋賀県守山市のHACCP導入は昌直行政書士事務所にご相談ください。
会社名:昌直行政書士事務所
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