海外ではいつからHACCPが始まっている?他国の状況と食品衛生基準
アメリカで始まった食品衛生管理手法のHACCPは現在では世界中の国で取り入れられています。
日本国内では2021年6月からHACCPが完全義務化されました。
では、海外ではいつから導入されているのでしょうか。
今回は、海外ではいつからHACCPが始まったのか、海外進出を考えるうえで知っておきたい他国の状況について解説します。
アメリカにおけるHACCP
米国でのHACCP義務化はいつから?
米国でのHACCP義務化は1997年です。
さらに2011年に食品安全強化法(FSMA)が成立し、水産食品、食肉・加工品、果実、野菜、飲料など、州をまたいで取引される食品はHACCPによる衛生管理に基づいて製造・管理されるようになりました。
宇宙開発がきっかけで始まったHACCP
HACCPは1960年に米国で宇宙開発が始まったことがきっかけです。
NASAは宇宙飛行士の安全確保のため、宇宙食の高度な衛生管理法を模索していました。
その過程で米軍と大手企業により共同開発した食品衛生の方法がHACCPのもとになっています。
米国ではHACCPに加えてFSMAも必要
米国ではHACCPだけでなくFSMAの安全管理も必要です。
FSMAは食品危害を予防し、発生と被害を最小限にする予防措置に重点が置かれています。
事業者に対する具体的な予防管理の義務化、FDAの検査や事業者の記録閲覧などの権限の強化、予防管理を中心とした制度です。
日本のHACCPは「工程」を主に見ていますが、米国のFSMAでは「衛生」「アレルゲン」「供給側(サプライチェーン)」も予防管理の独立項目になっています。
日本と米国では添加物、アレルゲンの内容が異なるため、注意が必要です。
日本では28種類、一方で米国は8種類ですがそのなかの「ナッツ」が広範囲に及びます。
カナダにおけるHACCP
カナダでのHACCP義務化はいつから?
カナダでは1992年から水産食品、食肉製品について順次HACCP導入を義務付けています。
カナダの食品安全に対する基本姿勢
カナダでは食品規制や検査業務の改革を行い、最大のパートナーである米国と密接に連携して規制の枠組みを作っています。
欧州におけるHACCP
欧州でのHACCP義務化はいつから?
EUでは、2006年から一次産品を除くすべての食品についてHACCPの導入を義務付けています。
ただし、中小企業や地域における伝統的な製法に対してはHACCP要件の「柔軟性」が認められています。
EUでは「混合食品」に独自の規制を設けている
EUでは、動物性加工済み原料と植物性原料の両方を含む食品を「混合食品」として独自の規制を設けています。
2021年からは混合食品を輸出する際には、動物性加工原料がEU域内外の認定施設由来であることなどを証明するために公的機関が発行する公的証明書または事業者による自己宣誓書の添付が必要になります。
その他の国のHACCP導入状況
豪州でのHACCP義務化はいつから?
豪州では1992年から輸出向け乳及び乳製品、水産食品、食肉及び食肉製品について、順次HACCPを義務付けています。
韓国でのHACCP義務化はいつから?
韓国では2012年より魚肉加工品、冷凍水産食品、冷凍食品、氷菓子類、非加熱飲料、レトルト食品、キムチ類について順次HACCPを義務付けています。
中国でのHACCP義務化はいつから?
中国では2009年から食品安全法においてHACCP導入による食品安全管理水準の向上を推奨しています。
台湾でのHACCP義務化はいつから?
台湾では2003年より水産食品、食肉製品、乳加工品について順次HACCPを義務付けています。
輸出の際に求められるHACCP認証
食品を海外に輸出するとき、輸出先によってはHACCP認証または民間認証が必要になります。
輸出の際に日本政府または第三者認証機関によるHACCP認証が必要となる国と食品は以下となります。
EU:水産物、水産加工品、牛肉、鶏肉
米国:水産物、水産加工品、牛肉
ブラジル:水産物、水産加工品
カナダ:牛肉
香港:牛肉
シンガポール:牛肉、豚肉
メキシコ:牛肉
フィリピン:牛肉
ニュージーランド:二枚貝(ホタテガイの貝柱を除く)
HACCPに加えて「ISO22000」や「SQF」についても対策する
海外ではHACCPの導入が日本よりも早く進められていますので、海外進出を考えたとき、HACCPの導入は基本となります。
また、海外を意識した場合、HACCPだけではなく、「ISO22000」や「SQF」などについても対策が必要な場合があります。
ISO22000
ISO22000はスイスに本部がある「国際標準化機構(ISO)」によって定められた「食品安全に関する国際規格」です。
別名FSMS(食品安全マネジメントシステム)とも呼ばれ、食品の衛生面を含んだ安全な管理を実施するためのマネジメントシステム規格を指します。
HACCPでも食品事故を防止するためのリスク低減措置が事業所に対して唱えられていますが、ISO22000はその認証範囲が拡大されています。
HACCPでは事業所の屋内や工場、流通の現場が認証範囲とされていますが、ISO22000では食品加工工場の外周警備なども含まれ、さらに幅広い現場を認証範囲としています。
SQF
SQFは、米国のFMI(食品マーケティング協会)が所有・管理する、一次生産から加工・輸送・流通までのフードチェーン全体を対象とした食品安全・品質管理の認証規格です。
オーストラリアで開発され、現在では世界基準の認証となっています。
特徴はISO9001と同等の品質管理システムと、HACCPによる安全管理システムが組み合わさったような内容であること。
つまり、SQF認証を取得することで、食品の安全はもちろん、食品の品質に関してもマネジメントが可能となります。
産業分野ごとに要求事項が区分され、認証レベルが3段階に分かれているため、事業者はまず、目指すレベルを選択します。
認証レベルは
レベル1:食品安全の基礎
レベル2:HACCPに基づいた食品安全プラン
レベル3:包括的な食品安全:品質管理システム
となります。
海外を意識するなら専門家に相談しながら取り組む
各国のHACCPがいつから義務化されているか、国別の食品衛生に関する取り組みについて解説しました。
海外では日本よりも早くHACCP義務化が進んでおり、HACCPからさらに進んだ食品衛生の取り組みが行われているケースも多くあります。
海外進出を意識する場合、対象の国に合った対策を行う必要があります。
国や取り扱う食品によって規制内容も異なりますので、専門家のアドバイスを受けながら取り組むと確実です。
また、国内のみで食品事業を行う場合でも、海外からの観光客が増えている昨今ではグローバルスタンダードに基づいた食品衛生管理が求められます。
HACCPの取り組みに不安がある場合は一度専門家に相談しておくと安心です。
滋賀県守山市のHACCP導入は昌直行政書士事務所にご相談ください。
会社名:昌直行政書士事務所
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